消防法・施行規則
消防法第17条の3の3の点検報告義務
防火対象物の関係者は、設置した消防用設備等を定期に点検し、その結果を消防長または消防署長へ報告しなければならない。一定の防火対象物では、消防設備士か総務省令で定める資格者(消防設備点検資格者)に点検させる必要があり、それ以外は関係者自ら点検できる。
出典: 消防法 第17条の3の3(e-Gov法令検索)(確認日 2026年10月18日)
非常電源の自家発は点検対象
消防法令は消防用設備等に非常電源の附置を求めており、延べ面積1000㎡以上の特定防火対象物では非常電源専用受電設備では足りず、自家発電設備・蓄電池設備・燃料電池設備のいずれかが必要になる(施行規則第12条第4号ほか)。こうして設置された自家発電設備は消防用設備等の一部として定期点検・報告の対象になる。
出典: 総務省消防庁「消防法における自家発電設備の位置付け」(確認日 2026年10月18日)
点検と報告の周期
機器点検6か月・総合点検1年
消防法施行規則第31条の6第1項は、点検を1年以内で消防庁長官が定める期間ごとに行うと定め、平成16年消防庁告示第9号で、機器点検は6か月に1回、総合点検は1年に1回とされている。機器点検の対象には、消防用設備等に附置される非常電源(自家発電設備に限る)の正常な作動が明記されている。
出典: 総務省消防庁「消防用設備等点検報告制度について」(平成16年消防庁告示第9号)(確認日 2026年10月18日)
報告は特定1年・その他3年
点検結果は維持台帳に記録し、消防長または消防署長へ報告する。報告の周期は、特定防火対象物(令別表第一(1)〜(4)項、(5)項イ、(6)項、(9)項イ、(16)項イ、(16の2)項、(16の3)項)が1年に1回、それ以外の防火対象物が3年に1回(消防法施行規則第31条の6第3項)。
出典: 消防法施行規則 第31条の6第3項(e-Gov法令検索)(確認日 2026年10月18日)
保全策があれば6年に1回
運転性能の確認は原則として1年に1回の総合点検で行う。ただし、製造年から6年を経過していないもの、または前回の運転性能点検から6年を経過していないもので、運転性能の維持に係る予防的な保全策を講じているものは省略できる。結果として負荷運転・内部観察等は6年に1回の周期にできる。
出典: 平成30年消防庁告示第12号(別表第24第2項(6))/点検要領 第24(確認日 2026年10月18日)
6年の起算点と過去の設備
平成29年6月以降に負荷運転を実施した設備や製造された設備は、保全策を講じれば、その負荷運転または製造年から6年間は運転性能の点検を省略できる。平成29年5月以前のものも、以降継続して保全策を講じていたと記録で確認できれば同じ扱い。改正前にオーバーホール等で同等の確認をした記録がある場合も起算点にできる(消防予第528号問2)。
出典: 消防予第372号 記2(1)(2)/消防予第528号 問2(確認日 2026年10月18日)
機器点検・総合点検の主な項目
機器点検(半年ごと)は設置状況・表示・自家発電装置・始動装置・制御装置・保護装置・燃料容器・排気筒・始動性能・運転性能(無負荷で5〜10分運転)など18項目。始動時間は原則40秒以内。総合点検(1年ごと)は接地抵抗・絶縁抵抗・接続部・始動装置・保護装置・運転性能(負荷運転または内部観察等)・切替性能の7項目。
出典: 消防庁リーフレット裏面「自家発電設備の点検基準」/点検要領 第24(確認日 2026年10月18日)
点検基準の告示・通知
点検基準は昭和50年告示第14号
自家発電設備の具体的な点検項目と点検票は「消防用設備等の点検の基準及び消防用設備等点検結果報告書に添付する点検票の様式」(昭和50年消防庁告示第14号)の別表第24・別記様式第24で定められている。平成16年消防庁告示第9号は点検期間・方法・報告書様式を定める別の告示である。
出典: 総務省消防庁「消防用設備等の点検基準、点検要領、点検票」(確認日 2026年10月18日)
平成30年告示第12号と関連通知
平成30年6月1日公布・施行の平成30年消防庁告示第12号で別表第24が改正された。同日付で公布通知の消防予第372号(消防庁次長)と、点検要領を改正する消防予第373号(消防庁予防課長)が出され、平成30年8月24日付の消防予第528号(予防課長)で質疑応答が示された。
出典: 消防予第372号(平成30年6月1日)/総務省消防庁「自家発電設備の点検基準等の改正」(確認日 2026年10月18日)
令和8年 負荷運転の実態調査
消防庁予防課は令和8年7月13日付の消防予第327号で、平成30年の見直し後の負荷運転の状況等を把握するため、自家発電設備を非常電源とする防火対象物を対象に各消防本部へ調査を依頼した(回答期限は令和8年8月21日)。結果は消防庁ホームページへの掲載や点検率向上の検討に使う予定とされている。
出典: 消防予第327号(令和8年7月13日)(確認日 2026年10月18日)
点検の方法
平成30年改正の4つのポイント
改正点は4つ。①総合点検の運転性能確認に、負荷運転の代わりとなる内部観察等を追加。②予防的な保全策を講じていれば負荷運転・内部観察等を6年に1回に延長。③ガスタービン式は負荷運転不要。④換気性能の点検は負荷運転時から無負荷運転時等へ変更。商用電源を停電させないと実負荷試験ができない、擬似負荷装置を置けない等の問題が背景にある。
出典: 消防庁リーフレット「自家発電設備の点検方法が改正されました。」(確認日 2026年10月18日)
運転性能は負荷運転か内部観察等
改正後の別表第24第2項(6)では、ガスタービン以外の自家発電設備の運転性能を、負荷運転(漏油・異臭・不規則音・異常振動・発熱等がなく正常に運転するか)か、内部観察等(機器内部の観察や潤滑油・冷却水の成分分析等で腐食・劣化がないか)のいずれかで確認する。
出典: 平成30年消防庁告示第12号 新旧対照表(消防予第372号添付)(確認日 2026年10月18日)
負荷運転は定格出力30%以上
点検要領では、擬似負荷装置や実負荷等を使い、定格回転速度かつ定格出力の30%以上の負荷で必要な時間連続運転して確認する。運転中の記録はすべて製造者の指定値の範囲内であること。擬似負荷装置の容量・設置場所・仮設ケーブル等は電気主任技術者・防火管理者と事前に十分打ち合わせる。
出典: 消防用設備等の点検要領 第24 3総合点検「運転性能/負荷運転」(確認日 2026年10月18日)
負荷運転の時間と30%の理由
消防予第528号の質疑応答では、負荷運転の時間は点検基準の確認に要する時間で足りるとされた。30%以上とする理由は、加圧送水装置等の始動時に定常の約3倍の電力が要るため発電機が約3倍の出力で設計されているからで、火災時の設計上の想定負荷が30%を下回ると確認できれば、その負荷相当での実施も差し支えないとしている。
出典: 消防予第528号(平成30年8月24日)問3(確認日 2026年10月18日)
内部観察等の5項目
内部観察等は、①過給機を外してコンプレッサ翼・タービン翼と排気管内部を観察、②燃料噴射弁を外し試験器で開弁圧力・噴霧状態・液だれを確認、③シリンダヘッドを外すか内視鏡でシリンダ摺動面を確認、④潤滑油の成分分析、⑤冷却水の成分分析(水冷式に限る)で構成される。
出典: 消防用設備等の点検要領 第24 3総合点検「内部観察等」/消防庁資料「内部観察等とは?」(確認日 2026年10月18日)
成分分析の指標と注意点
潤滑油は動粘度・燃料希釈分・塩基価・金属成分・水分等、冷却水はpH・全硬度・電気伝導率・蒸発残留物等が製造者の指定値の範囲内かを確認する。消防予第528号は、潤滑油や冷却水を交換しただけでは内部観察等の点検を行ったことにならないとしている。
出典: 消防用設備等の点検要領 第24/消防予第528号 問1(確認日 2026年10月18日)
ガスタービンは負荷運転不要
原動機がガスタービンの自家発電設備は、無負荷運転でもディーゼルの負荷運転と機械的・熱的負荷に差が見られず、排気系統への未燃燃料の蓄積もほとんど生じないことが燃料消費量のデータ等で確認されたため、改正後は運転性能確認(負荷運転・内部観察等)の対象外となった。
出典: 消防庁リーフレット/消防予第372号 記3(確認日 2026年10月18日)
予防的な保全策の中身
予防的な保全策とは、予熱栓・点火栓・冷却水ヒーター・潤滑油プライミングポンプ(設けられている場合)を1年ごとに確認し、潤滑油・冷却水・燃料フィルター・潤滑油フィルター・ファン駆動用Vベルト・冷却水用等のゴムホース・各系統のシール材・始動用蓄電池を、製造者が設定する推奨交換期間等以内に交換することをいう。
出典: 消防用設備等の点検要領 第24 別添2「運転性能の維持に係る予防的な保全策」(確認日 2026年10月18日)
保全策を示す書類の添付
保全策を講じて運転性能の点検を省略するときは、点検票(別記様式第24その3)の備考欄に最終実施年月を書き、保全策を講じていることを示す書類(点検要領別添1の交換・整備履歴表が例)を添付する。運転性能の点検を実施した年は添付不要で、3年ごとの報告では直近の保全策の書類のみでよいとされる(消防予第528号問4)。
出典: 消防予第528号 問4/点検要領 第24 別添1(確認日 2026年10月18日)
点検を行う人の資格
有資格者の点検が必要な建物
消防法施行令第36条第2項により、延べ面積1000㎡以上の特定防火対象物、延べ面積1000㎡以上の非特定防火対象物で消防長・消防署長が指定したもの、特定一階段等防火対象物などは、消防設備士または消防設備点検資格者に点検させなければならない。
出典: 消防法施行令 第36条第2項(e-Gov法令検索)(確認日 2026年10月18日)
資格の種類と自家発の扱い
点検できる設備の範囲は平成16年消防庁告示第10号で定められ、第1種消防設備点検資格者は消火器・屋内消火栓・スプリンクラー等の消火系、第2種は自動火災報知設備・誘導灯・排煙設備等の警報・避難系を担当する。非常電源は独立した区分として列挙されておらず、東京消防庁は、自家発電設備には附置先の消防用設備等と同じ点検資格が必要と案内している。
出典: 平成16年消防庁告示第10号/東京消防庁「自家発電設備の点検」(確認日 2026年10月18日)
運転性能の確認は専門知識のある者が
点検要領第24は、総合点検の運転性能確認(負荷運転または内部観察等)を自家発電設備の点検・整備に必要な知識と技能を持つ者が行うのが適当とし、点検結果の詳細データ等を示す書類の添付が望ましいとしている。法令上の点検資格とは別に、実施者の技能を求める趣旨である。
出典: 消防用設備等の点検要領 第24 非常電源(自家発電設備) 1一般的留意事項(2)(確認日 2026年10月18日)
NEGA専門技術者は団体の資格
一般社団法人日本内燃力発電設備協会(NEGA)は「専門技術者」資格を独自に運営し、資格証の更新や更新講習を行っている。消防法で点検を行える者として告示(平成16年消防庁告示第10号)に挙げられているのは消防設備士と消防設備点検資格者であり、NEGAの資格はそこに含まれていない。
出典: 日本内燃力発電設備協会「専門技術者資格保有者へのお知らせ」(参考・団体情報)/平成16年消防庁告示第10号(確認日 2026年10月18日)
関連する他の法令
電気事業法の保安規程は別制度
非常用の自家発電設備は電気事業法の自家用電気工作物にも当たり、設置者は保安規程を定めて届け出(第42条)、電気主任技術者を選任する(第43条)。点検要領第24は、消防法の点検は電気主任技術者と防火管理者の立会いで行うのが望ましく、保安規程に基づく維持管理と同時に行えるよう計画するのが適当としている。
出典: 電気事業法 第42条・第43条(e-Gov)/点検要領 第24 1一般的留意事項(1)(確認日 2026年10月18日)
建築基準法12条の定期検査
建築基準法第12条第3項により、特定建築設備等の所有者は定期に一級・二級建築士や建築設備等検査員に検査させ、特定行政庁へ報告する。検査基準の平成20年国土交通省告示第285号では、排煙設備や非常用の照明装置の予備電源としての自家用発電装置も検査項目に含まれる。平成31年1月29日施行の改正で、消防法・電気事業法の点検記録を活用できるようになった。
出典: 建築基準法 第12条(e-Gov)/総務省消防庁 検討会参考資料6-7(国交省告示改正の概要)(確認日 2026年10月18日)
この記事は法令・消防庁・各消防本部などの公式ページをもとに 非常用発電機点検ナビ運営事務局 が整理したものです(確認日 2026年10月18日)。個別の建物での点検方法・報告は、所轄の消防署や点検業者に確認してください。